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西高出身の二人の作家の新刊が発売中です。

 

1冊目は、西高18回生の作家・佐藤泰志の評伝を10年もの歳月を費やして書き上げた中澤雄大(ノンフィクション作家)さんの『狂伝 佐藤泰志 無垢と修羅』(中央公論新社)。

 

『きみの鳥はうたえる』『海炭市叙景』『草の響き』……芥川賞に5回、三島由紀夫賞、野間文芸新人賞に各1回ノミネートされながらも受賞を果たせずに、1990(平成2)年10月、失意のうちに41歳で自死した佐藤泰志の本格評伝となります。

 

全作品の背景分析に加えて、函館西高時代から晩年までの膨大な手紙類を読み解き、作家の胸の内が赤裸々に明かされます。その肉声から聞こえるのは、愛憎半ばする函館への想いであり、担ぎ屋として懸命に働いた両親との相剋であり、終生葛藤した自身の「血脈」でもあります。「高校生作家」として脚光を浴びて、「すぐに作家になれると思っていた」青年が中央文壇の厚い壁に阻まれて、精神的に苦しんでゆく……。

  

狂おしいほどに文学に情熱を傾けながらも斃れて、忘れ去られた作家がなぜ現代に蘇り、「令和」の時代においても読み継がれて、新たな読者を獲得してゆくのか──。当時の文壇状況のみならず、世相を踏まえながら、作家の抱えた修羅に迫るため、著者が10年以上の歳月と圧巻の取材で肉薄した渾身の1作です。

 

★本のご購入は、オンライン書店またはブックサービスで☎0120-29-9625

 


2冊目は西高11回生の作家・森真沙子さんの新刊『柳橋ものがたり8 夜明けの舟歌』(二見書房時代小説文庫)

 

3年前から刊行が始まった"柳橋ものがたりシリーズ"も本作で8巻目。物語の舞台は、幕末、江戸一番の花街だった「柳橋」。主人公は武家の娘・綾。訳あって柳橋の入り口に建つ船宿の住み込み女中になった綾が、そこで出会う事件の数々を、歴史上の事件や実在の人物も絡めて虚実ないまぜに描いた作品です。

 

今作には維新の立役者、山岡鉄舟が登場します。

 慶応四年五月二十日、強風に陣羽織の裾をなびかせ騎馬が駆けてくる。『篠屋』のそばで馬を止め、ひらりと降り立った。六尺豊かな巨大漢。山岡鉄太郎であった。この三月、東征軍参謀の西郷隆盛に目通りし、江戸城無血開城の下工作に成功していた。山岡は、強風のなか横濱の軍陣病院まで益満休之助を運んでほしいという。益満は西郷の懐刀だが流れ弾を受け破傷風にやられ……。

続きはぜひ本書を手に取ってお読みください。

 

★本のご購入は、オンライン書店またはブックサービス☎0120-29-9625

森真沙子ファン倶楽部ホームページ

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